社会を次世代へとつなぐ、有線式電動油圧ショベル

脱炭素社会を目指し活動する株式会社パブリック。有線式電動油圧ショベルが現場を牽引。

地球環境をいかに次世代へとつなぐか

香川県観音寺市を拠点に、四国四県に事業所を構え四国全域で事業展開している株式会社パブリック。一般廃棄物・産業廃棄物の収集からリサイクルまで、一貫して行っている。企業理念は「未来創造」、地球環境をいかに次世代へとつなぐことができるかをテーマに事業を展開している。「PUBLICとは社会正義を意味します。ごみをいかに減らすことができるか。そして、ごみをいかに資源化しエネルギーを生み出すことができるか。地域社会のため、自然環境のため、次世代の子どもたちのため、廃棄物処理を通して何ができるのかを真剣に考え、企業活動を行っています」と株式会社パブリック代表取締役社長の川崎佳日出氏は語る。

同社は県内唯一といえる総合的な廃棄処理施設を保有しており、あらゆるごみをワンストップで処理できる設備を整えている。その中心的な施設となっているのが本社工場だ。ここに集められたごみは、リサイクルの原料となる紙や木くず、化石燃料の代替として使われる廃棄物固形燃料RPFRefuse paper and plastic fuel)の原料となる紙やプラスチック、そして再利用することができず埋め立てや焼却処分するものへと選別される。

株式会社パブリック 代表取締役社長 川崎佳日出 氏

本社工場で製造される廃棄物固形燃料RPF

CO₂削減に向け、電動油圧ショベルへ

集められた廃棄物は粗選別を経て、選別ラインにて人の目で丁寧に選別される。その選別ラインへの投入に使われているのが、コマツの有線式電動油圧ショベルPC78USE-11産廃処理仕様だ。リバーシブル機能付き電動冷却ファンを装備し、定期的な逆回転により外装ネットに付着した粉塵を吹き飛ばすことが可能であり、粉塵によるオーバーヒートに対して十分な対策が施されている。また、アタッチメント部にはフォークが装着されている。

「政府の計画では、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするために、2030年度までに温室効果ガスを46%削減(2013年度比)することが目標として掲げられています。当社では化石代替燃料のRPFを製造するだけでなく、その製造工程においてもCO₂を削減したいと考え、エンジン駆動式から電動式の油圧ショベルへと切り替えました」と、本社産業廃棄物処理部門部門長の高橋和也氏は導入理由を語る。

(写真:株式会社パブリック 本社産業廃棄物処理部門 部門長 高橋和也 氏)

作業環境の改善、業務効率のアップ

導入に際しては、電源ケーブルをどのように配置するか、コマツとの調整が行われた。選別ラインへの投入が主な業務であるため、油圧ショベル自体の大きな移動はないが、修理やメンテナンスなどに伴い多少の移動が発生する。そのため電源ケーブルは、一定の距離であればスムーズに移動できるカーテンレール方式を採用した。「ケーブルを下に配置すると、建機や人と接触する恐れがあったので、カーテンレール方式としました。安全性も確保され、順調に稼働しています」と、高橋部門長は語る。

また、高橋部門長は「静音性には驚きました。会話が普通にできますので、コミュニケーションもとれて、業務効率と安全性が向上しました。また、粉塵が舞うことがないので、業務環境は格段に快適になりました。メンテナンスに関しても、従来のエンジン駆動式だとオイル点検や水抜きなど煩雑な業務が必要でしたが、それもなくなりました。しかも振動が少ないのでオペレーターの負荷軽減にもつながっています」と、そのメリットを語る。また、「電動ということで当初はパワーに若干の不安がありましたが、実際に使ってみると全く問題ありませんでした。杞憂でしたね(笑)」と川崎社長は電動油圧ショベルを評価する。

防塵・防水タイプの電気モーター

コマツのサポートが現場を加速させる

現在、同社ではおよそ60台の建機が稼働しているが89割がコマツの建機だ。「コマツ製品はパワーがありますし、アームの動きや旋回などがスムーズなので快適に作業ができます。また、サポート体制も素晴らしいですね。仮に午前中にトラブルが発生したとしても、連絡すれば午後には現場に駆けつけてくれます。迅速に対応してくれるので、作業が止まることはありません。とても助かっています」と、高橋部門長はコマツに対する信頼を語る。今後はフォークリフトも電動式に切り替えることを検討しているという。

持続可能な社会実現のための事業

同社では「地球環境を次世代へとつなげる」という視点から廃棄物処理だけでなく、さまざまな事業を展開している。スーパーと協業し段ボールや新聞紙を回収する「エコステーション」の設置。好気性発酵乾燥方式(生ごみや紙、プラスチックなどが混在したごみを発酵させ、発酵時の熱と通気を利用して乾燥処理を行う)によってごみを固形燃料へとリサイクルする事業。そして、フードロス対策として行っている食品残渣から堆肥を製造する食品リサイクルと、その堆肥を活用するオーガニックファーム事業など。廃棄されたものを再び利用することで「ループ」を生み出し、持続可能な社会の実現に貢献している。さらに、地域社会と共に間伐作業や植林作業を行う森林整備活動を実施。自然環境を整えると同時にCO₂削減を実現する環境づくりに尽力している。

未来の子どもたちのために

「地球は未来の子どもたちから借りているもの。いかにいい状態で次世代にバトンタッチできるか。ごみを減らすこと、そしてごみを活かすこと。この両輪を推進しながら、できることを確実に行っていきます」と、川崎社長は抱負を語る。「パブリック」のために何ができるのかという問いに真剣に向き合い、アクションを起こす同社。その視線は未来の子どもたちへと向けられている。