遠隔操作システムを本格導入。建設現場が未来へと動き出す

地域の建設業を牽引するオオノ開發株式会社。建機の遠隔操作システム導入で、建設業を革新へ。

産廃処理を基盤に幅広く事業展開

地域のリーディングカンパニーとして、時代や社会が求めることに積極的に取り組んできた同社。建設業界で話題となったのが、建機の遠隔操作システムの導入だ。このプロジェクトは、コマツとそのグループ会社でさまざまなデジタル技術を開発・提供する、株式会社EARTHBRAIN(アースブレーン)との協業で行われた。遠隔操作システムは、高速・大容量・低遅延が特長の5Gネットワークを活用し、建機から高精細映像を送り、離れた場所にあるコックピットからの遠隔操作を可能にする。

遠隔操作システムを導入することで、一人のオペレーターがオフィスに居ながら複数の現場の建機を操作できる。業務の効率化を推進し、人件費や交通費などのコスト削減も見込める。人材不足やオペレーターの高齢化などが深刻化している建設業界では、遠隔操作に対するニーズは年々高まっている。「5Gを活用した遠隔手術をテレビ番組で見たのがきっかけで、コマツとこのプロジェクトを進めることになりました」と取締役副社長の岡田多方一氏は語る。岡田副社長はコマツ製品の性能や先進性を高く評価しており、今回のプロジェクトのパートナーはコマツ以外には考えられなかったという。

(写真:オオノ開發株式会社 取締役副社長 岡田多方一 氏)

驚異的なスピード導入

プロジェクト推進に当たり、岡田副社長がもっとも重視したのはスピード感だ。これまでもコマツとは建機の共同開発を行っているが、いずれも数年単位での進行だった。岡田副社長は「なんとか早期の導入を叶えたい」と考え、1年後の導入を目標にプロジェクトをスタートさせた。

そして、オオノ開發、コマツ、EARTHBRAIN3社の思いが一つになり、互いに協力しアイデアを出し合い、スピーディーにプロジェクトは進行。結果、当初の目標どおり1年という驚異的な早さで導入が実現した。

ユーザー目線のシステム構築

システムをつくり上げていくうえでのキーワードは「ユーザー目線」。徹底したユーザー目線でさまざまなことが検証された。コックピットのシートの固定化がその代表だ。従来は現場の建機の稼働状況をリアルに再現することが重要だとされ、建機の動きと連動してキャビンやシートが傾いたり振動したりすることが必要だと考えられていた。ところが、これではオペレーターの体に負担がかかってしまう。「デモンストレーション機でもなければ、シミュレーターでもありません。オペレーターへの負荷を極力少なくし、快適な環境で操作するのにコックピットのシートが動く必要はありません」と岡田副社長は語る。

操作において重要となるのが、コックピットに映し出される映像だ。いかにリアルな遠近感を再現できるか、EARTHBRAINの開発者は何度も現場に足を運び、さまざまな課題を克服し映像環境を整備していった。また、「音」には多くの情報が含まれることから、コックピットの両サイドにセットしたスピーカーで、現場の音が再現されるようにした。

(写真)7つのモニターには建機の映像や俯瞰カメラの映像がリアルタイムで送られてくる

遠隔操作システムの普及を目指す

オペレーターの松本乃愛氏は「現場の臨場感を持って操作できます。モニターは見やすくレイアウトされており、遠隔操作にはすぐに慣れました。振動がないので、体も楽です。何より安全なのがうれしいです」と快適な操作性を語る。常務取締役の玉井直也氏は「オフィスでヘルメットもせず、出社したときの服装でコックピットに乗り込み操作を行う。終業時間になったらコックピットを降りて、そのまま帰宅。そんなことが可能ですし、それを実現するためのシステムです」と、遠隔操作システムの可能性を語る。「遠隔操作システムの導入はゴールではありません。ここがスタートラインです。現状では稼働予定の処理場エリアは5G環境ではないため、5Gアンテナを設置する予定です。アンテナが完成次第、実務に使用します。目標はこのシステムが日本中に普及し、誰もが当たり前のように遠隔操作を行うことです」と、岡田副社長は遠隔操作システムへの思いを語る。

オオノ開發株式会社 常務取締役 玉井直也 氏

近未来を感じさせるデザインのコックピット1号機に乗るオペレーターの松本乃愛氏

近未来的な流線形のフォルムが特徴のコックピット2号機
コックピットから送られる信号がラジコン操作用に変換され、信頼性の高い無人操作を実現する遠隔建機

地域社会のため更なる規模拡大を

現在、同社では「なかま1000プロジェクト」という取り組みを行っている。雇用の拡大を図り、地域社会への更なる貢献を実現することが目的だ。「業界および地域のリーディングカンパニーとして、『この業界に入りたい』そして『地元で就職したい』という人を増やし、地域社会の活性化に貢献していきます」と岡田副社長は語る。わずか1年という驚異的なスピードで最先端の遠隔操作システムの導入を実現したオオノ開發。その優れた先進性と行動力は、今後も地域や業界に大きなインパクトを与え続けるであろう。

お客様プロフィール

オオノ開發 株式会社

<設立>
1973年 11月(昭和48年)

<事業所>
〒791-0242 愛媛県松山市北梅本町甲184番地

<事業内容>

  • 解体工事・土木工事の請負・施工
  • 産業廃棄物・特別管理産業廃棄物、一般廃棄物の収集運搬、 汚染土壌の収集運搬、中間処分、最終処分
  • 一般廃棄物の収集運搬、中間処分、最終処分
  • 汚染土壌の調査・修復提案・施工
  • 計量証明事業
  • 低濃度PCB廃棄物処理
  • 農産物の生産、品種育成、農業培土の製造販売
HP https://www.oono-as.jp/