最新建機を使用することへのこだわりが砕石現場を変えていく

良質な砕石を安定供給。常に最新の建機を使用し、業務の効率化と環境負荷の低減を推進。

製販一体で砕石の安定供給を実現

奥村組砕石生産株式会社は、瀬戸内海播磨灘に浮かぶ家島諸島のなかで最大の面積(6.59㎢ )を持つ西島に砕石工場を構える。本社は大阪で、従業員は約30名。西島砕石工場のほか、有(う)年(ね)砕石工場(赤穂市)を展開。砕石の年間出荷量は、西島砕石工場で約120万t、有年砕石工場では約30万tとなっている。
同社の特徴はメーカーとして、海上の流通から荷揚げヤードを保有し、スムーズな製品供給を実現していることだ。「個々のお客さまのニーズを的確に捉え万全の生産体制を整えていますので、急ぎの案件に対しても安定的な供給が可能です」と、生産部長の廣本栄治氏は同社の強みを語る。
(写真:奥村組砕石生産株式会社 生産部長 廣本栄治 氏)

砕石工場現場のコマツの建機

 工場現場では数々のコマツの建機が稼働している。ブレーカーを装備した油圧ショベルPC490LC-11N0が発破後の石の小割作業を行い、小割を経て80㎝以下の大きさとなった石を、油圧ショベルPC950-11とホイールローダーWA600-6がダンプトラックHD465-7E0へと積み込んでいる。「作業効率や安全面から、建機は最先端の技術を搭載したものを採用したいと考えています。コマツの建機の先進性は申し分ありませんし、品質も当社の希望と合致しています」と廣本部長はコマツを評価する。

リース契約で最新機種を使用

同社では常に最新の建機で作業を行うために、建機は購入せずリース契約にし、短いサイクルで新しい機種へと乗り換えている。20232月に導入されたPC950-11も、20227月に発売されたばかりの最新の機種で、12年ぶりのフルモデルチェンジとして話題となった。バケット容量は、従来機PC850-8E03.2㎥から4.0㎥へと大きくなり、新型エンジンの採用によりエンジン出力がアップ。さらに、ブーム・アーム部が長くなり作業範囲が拡大するなど、数々の進化を遂げている。

フルモデルチェンジで生産性アップ

「従来機ではHD465-7E0への積み込みにバケット16杯が必要でした。それが、PC950-11だと12杯で済みます。時間にすると6分から4分への短縮です。これによりダンプへの積み込みが1日に26回だったものが30回へと増え、生産性が大きく向上しました」と西島砕石工場長の前田隆幸氏は語る。副工場長の梅田正明氏は「操作に対する機械のレスポンスがいいので、業務がとても効率的になりました。特に、負荷のかかった状態で遠くにあるバケットを手前に引くときには、格段にスムーズになった印象があります」と、モデルチェンジによる性能向上を実感している。オペレーターの大庭寛氏は「パワーアップもしていますし、旋回性能も向上しています。作業がとても快適になりました。従来機と比べると疲労度がまるで違いますね」と快適な操作性について語る。
奥村組砕石生産株式会社
西島砕石工場工場長
前田隆幸 氏
奥村組砕石生産株式会社
西島砕石工場副工場長
梅田正明 氏

PC950とHD465は好相性

梅田副工場長は「高台に乗ってHD465-7E0へ積み込み作業をする場合、法面のスペースがあるため近くに寄ることができません。従来機は腕(ブーム・アーム部)が短かったため、積み込みには苦労しましたが、腕の長いPC950-11なら軽々と奥の方まで積み込むことができます。しかも、バケットのサイズがHD465-7E0の荷幅にちょうどいい。PC950-11とHD465-7E0はベストマッチングです!」と、二つの建機の相性の良さに太鼓判を押す。

決め手はコマツのサポート体制

生産性向上に大きく貢献しているPC950-11だが、導入の決め手となったのはコマツのサポート体制にもあるという。「建機に故障はつきものです。大事なのはそのリカバリーをいかに素早くできるか。コマツは建機メーカーのなかで唯一西島に出張所を設けています。どこよりも早く現場に駆けつけてくれて、スピーディーに部品交換や修理を行ってくれます。」と、梅田副工場長は語る。

工場全体で自然環境へ配慮

自然からの恵みである砕石を取り扱う企業として、同社の環境に対する意識は高い。建機のリース契約は環境対策としても有効で、省エネや環境負荷の低減を実現する最先端の建機の導入につながっている。建機のエコモードの使用にも積極的だ。コマツの協力のもと二つの工場において省エネ運転講習を実施する予定だという。また、プラントの電気使用量の実態調査を行い、その調査に基づき各機械の使用方法の見直しを行うプランを導入するなど、プラント全体での省エネ推進を図っている。

地域社会との良好な関係を構築

地域社会に根づく企業として地元の方々との交流も盛んだ。砕石業の大切さや重要性を地域の方に知ってもらいたいという思いから、地域の小学校を対象とした工場見学を実施している。「これまで砕石業は閉鎖的な業界でした。粉塵をまき散らさないための十分な対策は取っていますが、それでも地域の皆さまにご協力をお願いする部分もあります。そういった意味でも、地域社会と良好な関係を構築することは重要です。小学生との触れあいは将来、地元採用にもつながりますし、地域社会の活性化にもなります。より開かれた砕石業を目指していきます」と廣本部長は語る。

常に最先端を目指す

「これまでの砕石業の枠にとらわれず、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいです。50年前に西島砕石工場がスタートしたときは『西日本で最先端の工場をつくろう!』という思いでしたが、それは現在にも引き継がれています。コマツにも協力してもらい、将来的には、西日本で最初の砕石業務の無人運転を実現する工場を目指しています」と廣本部長は未来を見据える。