先進技術を搭載した建機のチカラがリサイクルの現場を大きく変える

環境総合リサイクル企業として業界を牽引し、数々の先進建機でリサイクルの高度化を実現。

全国展開の環境総合リサイクル企業

創業70年の歴史を誇る株式会社オガワエコノス。広島県府中市に本社を構え、環境総合リサイクル企業として全国的に展開している。
「Think Globally, Act Locally」を行動指針とし、企業理念である「エコロジーをテーマに地域社会と地球の未来に貢献する『自然にやさしい』『人にやさしい』会社」を実現するべく積極的な企業活動を行っている。2023年4月より本格稼働している新プラント「サーキュラーエコノミー福山」には、同社の環境に対する考え方や先進的な技術が凝縮している。

国内最高峰のRPF施設「CE福山」

サーキュラーエコノミー福山は、その名のとおり、資源循環を通してサーキュラーエコノミー(循環経済)の推進を目指しており、年間約6万tのRPF製造が可能な国内最高峰の施設だ。RPFとは廃プラスチック類や木くず、紙くず、繊維くずからつくられる石炭代替燃料で、資源のリサイクルに貢献する循環型エネルギーとして注目されている。
従来型のRPF製造施設では、分別された廃棄物を受け入れ、燃料化するのが一般的で、分別が難しい複数種類が混在する混合廃棄物は燃料化されることなく、埋立処理へと回されることが多かった。同施設では、混合廃棄物を自動選別する先進的な設備を導入することで、混合廃棄物の燃料化が可能な製造体制を整備した。
福山市のびんごエコ団地内にある「サーキュラーエコノミー福山」

環境・地域にとって意義ある施設

「混合廃棄物の燃料化を実現しており、自然環境にとっても地域社会にとっても、非常に意味のある施設だと考えています。」と、RPF事業部部長の藤村卓磨氏は語る。現在、熱エネルギーとなるRPFを製造するサーマルリサイクル工場として運転中だが、今後は廃棄物を製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルや、化学製品の原料として再利用するケミカルリサイクルの前処理工場として進化・拡大していく予定だ。
同施設におけるRPF製造工程の概略を説明しよう。同施設に搬入された混合廃棄物は、まず粗破砕機で破砕され、次に混合廃棄物を高い精度で分別するバリオセパレータや光学選別機を経て選別される。その過程で、リチウムイオンバッテリーなどの危険物や原料に適合しない塩ビなどが除去される。そして破砕機へと運ばれ、破砕された廃棄物はタンクへと貯留される。その後、RPF成形機で熱を加えながら圧縮固化し成形され、燃料として出荷される。
(写真:株式会社オガワエコノス RPF事業部部長 藤村卓磨 氏)

簡単操作でアタッチメント交換

搬入された混合廃棄物を粗破砕機へと投入する際に使用されている建機が、PC228US-11の油圧オートカプラ仕様車だ。油圧オートカプラとはアタッチメント交換システムのことで、同社ではグラップルバケットとカッターのアタッチメント交換に使用している。従来の煩わしいピン抜き作業や油圧ホースの脱着作業が不要で、運転席からの数分の簡単な操作で交換が可能だ。
破砕機に廃棄物を投入する際、廃棄物が大きすぎると機械にトラブルが発生したり、破砕に時間がかかったりすることがあり、事前に廃棄物を適正な大きさに切断する必要がある。従来、アタッチメント交換には時間と手間がかかっていたため、アタッチメントは交換せずに、廃棄物の切断は人力で行われていた。「ロール状の廃棄物は4名ほどのスタッフが1~2時間かけ、カッターナイフで破砕機に投入できるサイズにカットしていましたが、油圧オートカプラによるアタッチメント交換で1名のオペレーターの機械操作で切断できるようになりました。効率は格段に向上し、安全性も大きく改善されました」と、サーキュラーエコノミー福山工場長の井上英樹氏は語る。
(写真:株式会社オガワエコノス サーキュラーエコノミー福山工場長 井上英樹 氏)

ハイブリッドカーの操作性FE25-2

フレコンバッグで搬入された廃棄物の荷下ろしや設備内での各種機材の移動など、幅広い用途に使われているのが電動式フォークリフトFE25-2だ。従来はエンジン式フォークリフトを使用していたが、環境とオペレーターへの影響を考慮し電動式へと切り替えた。井上工場長は「とにかく電動式は操作性がいいです。振動も騒音も排ガスなく、静かに快適に作業できるので、体への負担も少ないです。しかも、急速充電で効率的に作業できます」と、電動式のメリットを説明する。

大幅な生産性向上WA470-10

製造されたRPFのトラックへの積み込みにはホイールローダーWA470-10が使われている。従来の工場ではショベルローダーが使用されていたが、バケットサイズに限界があり、バケット容量が8㎥と大容量のWA470-10が導入されることになった。
井上工場長は「納車されて間近で見たときの感想は『思った以上に機体が大きい!』でした(笑)。ところが小回りが利いて、狭いところでも楽に旋回ができる。視界も広いし、バックには背面モニターもある。大きいけど、安心感に包まれて作業できます。また、ハンドルではなくレバー操作なのには違和感がありましたが、今ではもうハンドルを持てないくらいフィットしています。元々、コマツのショベルローダーを気に入っていてコマツのファンでした。今回ホイールローダーを使ってみて、その優れた機能性を実感しコマツの“大”ファンになりそうです(笑)」とコマツへの信頼を語る。

世界の環境問題の解決へ

国内をネットワーク化して全国的に環境ビジネスを展開している同社だが、海外への進出をも見据えている。「発展が著しいアジア諸国の多くは産業廃棄物の問題に直面しています。私たちが培った経験と技術を活かして、世界の環境問題の解決に貢献したいと考えています」と藤村部長は世界を視野に入れた企業ビジョンを語る。