ICT建機の豊富な運用実績が自社の財産に

株式会社タカハシ

専務 新納 龍二 様

地元業界に先駆けICT建機2台を導入

公共工事を主体に一般土木事業、運送事業を展開する㈱タカハシ(大分県大分市、高橋八郎社長)は、今年で創業53年目を迎える地元業界では老舗企業の一つ。
同社は2年前、これからの建設工事の姿を大きく変えると言われているICT建機を、業界に先がけいち早く導入するなど先進技術導入にも意欲的な姿勢を見せる。
建設現場作業の合理化や効率化、省力化に大きく貢献すると期待されているICT建機だが、そうした先端技術の活用を推進する公共工事の発注は未だ限定的で、重機の導入が高額な投資になるなどの理由から、導入に慎重な姿勢を見せる地元業者も少なくないという。
そうした中、あえて導入に踏み切った同社新納龍二専務並びに斎藤訓広土木課長に、ICT建機導入の狙い、今後の展望について聞いた。

地場重機土木事業者として長い業歴と実績を誇る㈱タカハシ。地場有力ゼネコンが常連の受注先に名を連ねていることからも、仕事の正確さ、信頼の厚さを伺わせる。

同業者の多くが未だマシンガイダンス機能付き重機を使用する中、同社はいち早くコマツ製ICT建機PC200I-10、D51PXI-24の2台を導入した。
「ICT建機など先端的な重機の使用については、行政も勉強会や研修会を開くなど普及促進の立場で積極的な情報提供を進めています。当社としてもいずれ建設現場でこうした重機が普及していくことはまちがいないと考えていました」と語る新納専務。ICT建機についてはコマツIoTセンタ北九州で最新のICT建機についての説明を受け、試乗も経験させてもらいましたし、またレンタル車を現場で使用し、十分その性能は理解していたことから、コマツのPC200I-10/D51PXI-24の購入の際も特にためらうことはなかったという。

(写真:「ICT建機を活用することで、工期の短縮や省力化につながる」と話す新納龍二専務)

 

免許さえあれば熟練オペレータ並みの仕事が可能に

導入後の印象について新納専務は「ICT建機の最大のメリットは、初心者にとっても、また熟練オペレーターにとっても、同じ様な高いレベルの仕事を設計通りにでできるということですね。通常は丁張りなどの設置に数日をかけた後,施工にとりかかりますが、ICT建機だとほとんどその必要がないか、全く必要ない場合もあります。しかも精度の高い作業が可能なため、従来に比べ現場管理の内容を簡素化した独自の基準で工事が進められるという有利さもあり、工事の工程も簡略化できることから工期の短縮、それにともない現場で働く作業者の省力化にもつながります。さらに、熟練のオペレーターでなければ任せられなかった整形作業なども経験の浅いオペレーターでこなせることから、人員配置の点でもかなり融通が効き現場の回転もよくなりました」と話す。

(写真:正確に削られた法面の滑らかなカーブが施工精度の高さを物語る)

課題を残しつつも着実に進む建設現場のICT化

ICT建機導入は、建設現場が抱える多くの課題解決につながる一方で、そのメリットを生かせる、先端技術の活用を推進する建設現場がまだまだ少ないという現実もあるという。
「公共工事の場合、建設現場の合理化や効率化、省力化を目的に国がi-Constractionを推進していることもあり、ICT建機を使用する前提で設計予算を組んで工事を発注する場合もあります。ただそうした現場は現状ではごく一部ですね」。
ICT建機が広く活用されるまでにはいくつかの課題を残しているものの、現場作業の効率化、合理化に大きく役立つことから、採算が合うと判断すれば、元請業者が経費を負担する形でICT建機を使うケースもあるなど、現場作業のICT化、Iot化は着実に進んでいるようだ。

(写真:3次元設計データーを基に高精度の法面工事をこなすコマツPC200i)

ICT建機の豊富な運用実績が自社の財産に

多くの公共工事で、ICT建機の使用が未だ限定的で、しかも従来型の建機と比べ大幅な投資になるなどの理由から、多くの建設業者はIMC(インテリジェントマシンコントロール)建機よりもマシンガイダンス機能のみの建機を選ぶ傾向にあるのも事実だ。そうした現状であえてIMC建機導入に踏み切った同社の意図について尋ねると
「当社にとってICT建機の導入はに先行投資の意味合いが強いですね。価格的にも同様の重機に比べ約2倍以上の価格差があり、設備投資として採算をとるにはかなりの稼働率の高さが必要ですが、現状ではICT建機の性能をフルに発揮できる現場はまだ少ないですね。ただ近い将来こうした建機が普通に使用される時代になることは間違いないと確信しています。実際の現場で数多くの運用実績を蓄えていくことで、ICT建機ならではの性能が生かせる作業工程づくりや効率的な使用方法などのノウハウを獲得できることは、今後当社にとって大きなメリットになると考えています。ICT建機が広く普及する頃には、先行して導入したことによる数多くの運用実績が当社の財産になると期待しています」。新納専務は「ICT建機の運用についてはタカハシに聞けと言われる、行政からも、業界からも頼りにされる存在になりたいと」と最後に語った。

(写真:法面をなぞるように正確な動きを繰り返すバケット部分)

お客様プロフィール

株式会社 タカハシ

<事業内容>
■総合工事(一般土木建築・土木)


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