沖縄本島から南西へ約290kmに位置する宮古島。島の大部分をサトウキビ畑で占める宮古島では1月、収穫の時期を迎えていた。刈り取りが済んだサトウキビはトラックに積載され製糖工場へと運ばれる。この時期に島中でよく見られる光景だ。島の主力産業と言えるこのサトウキビ加工の分野で、宮古製糖もまた多忙を極めていた。忙しい中で取材に応じてくれた宮古製糖 城辺(ぐすくべ)工場の山城尚俊次長は、「搬入から1週間が経過しての平均糖度は13・09度。基準糖度の13・1~14・3度にはわずかながら達しなかったものの、雨続きだった天候を考えると高く推移しています」と評価。
サトウキビの収穫時期は12月~3月頃まで行われる。以前はそれぞれの農家が一家総出で収穫し、その場で余分な葉を切り落とす「手刈り」が行われていたが、現在ではハーベスターと呼ばれる農業機械が流通し、刈り取りから脱葉まで自動で行うのが主流という。これまで手作業では1週間かけて行っていた作業が数時間で終わるほど技術が発達。しかしながらハーベスターの導入はサトウキビの生産効率を飛躍的に向上させた一方で、悪天候時は使えないという特徴もあるとのこと。
城辺工場の今年の搬入目標は1日当たり約1500tで、宮古製糖が持つ多良間工場(沖縄県宮古郡多良間村)、伊良部工場(沖縄県宮古島市伊良部)と合わせると約2250tを1日に受け入れる計画。
なお、2018年度の宮古製糖の砂糖の生産実績は19万5千tで、同年の沖縄全体の生産量は76万8千t。同社が約25%の割合を占めており、数ある沖縄の製糖業者の中でもトップクラスの生産量を誇っている。
ほどよい苦みが美味しい
サトウキビを原料として作られる砂糖には大きく分けて2種類ある。黒砂糖として食べられる含蜜糖(がんみつとう)はサトウキビ本来の栄養素(ミネラルなど)を多く含み、味にコクがあるのが特徴。またグラニュー糖や白糖などとして食べられる分蜜糖(ぶんみつとう)は甘さの部分のみを取り出されたものという違いがある。宮古製糖では工場別に2種類とも製造しており、含蜜糖(黒糖など)については「それぞれ業者・加工工場によって製造工程の違いから固さ、大きさ、味などが若干異なります。当社としましてはほどよい苦みを美味しく味わえる点が特徴ですね」という。
24時間 コマツ機がフル稼働 「ランニングコスト減に満足」
取材で訪れた1月はまさに製糖作業の繁忙期。この時期から3月いっぱいにかけて工場は24時間体制でフル稼働を続ける。この時に重要なのはいかに機械の稼働効率を高く保つかだ。
宮古製糖で作業するのはコマツのホイールローダーWA320。搬入されたサトウキビをヤードと呼ばれる保管所内へ
運搬し各種加工機械への橋渡し役を担う。「これまでの機械が20数年間使用し老朽化していたためWA320を新たに導入しました。古い機械を使い続けていてはメンテナンスに手間がかかり、機械を停止させる時間がもったいなかったのですが、新しい機械に置き換えたことでスピーディーに仕事をこなせています。燃費にも満足しており、ランニングコストを減らすことができて大変助かっていますね」。作業を担うオペレータは8人。この時期の宮古製糖ではオペレータ2交代制で24時間ほぼ稼働を続けている。「今後もコマツの機械を使って沖縄の主力産業のサトウキビ加工を続けて参ります。機械に関しては、さらに燃費が向上し、環境に配慮できるものになればと期待しています」と山城次長は笑顔で語ってくれた。
宮古製糖 株式会社
<事業内容>
■砂糖製造業
HP:https://www.miyako-seitou.co.jp/index.html